【フィルムカメラの空港対策】荷物検査で感光した写ルンです



デジタルカメラ全盛期の現代だが、自分のフィルムカメラや写ルンです、インスタントカメラなどを海外に持っていきたい方もいるかと思う。大分前から「写ルンです」や「チェキ」が若い女性たちの間でも再流行している。

私は写ルンですを20個以上アイスランドに持っていった。いわゆるフィルムカメラではなくこのカメラを選んだのはそれなりのポリシーがある。

普段はコンパクトデジタルカメラを愛用しているが、このときはフィルムオンリーと自分の中で絶対のルールとして決めていた。デジタルカメラは家に置いていくことに。ちなみに、もう一つの愛機としてチェキも連れていった。

おそらく、何も知らずにフィルムカメラをそのまま海外へ持っていく方はあまりいないのではないかと思う。それを危惧して「感光するのかしないのか」と、私のように検索する方は少なくないはずだ。また、事前にありとあらゆるサイトを調べ尽くしたが、数年前の内容だったり、国内限定だったり、実体験ではなく憶測で語られているものまであるので注意したい。



フィルムに対する各々の意見


「高感度フィルムでなければ大丈夫」
「ISO 400程度なら余裕」
「ISO 1600でも平気」
「フィルム保護袋に入れておけば預け入れ荷物でも大丈夫」
「フィルム保護袋に入れてしまうと手荷物検査でも中身がよく見えないからと X 線を強化させられる」
「預け入れ荷物の場合は X 線が特別強いが手荷物の場合は害がない」
「最近の空港の X 線はフィルムを駄目にしないように改良されている」
「写ルンですはほぼ間違いなく感光するけど、自分のフィルムカメラは無事だった」
「絶対に手荷物にして X 線を浴びないように断固死守」

たくさんの意見が出てくるが、唯一無二の意見としてはやはり「断固死守」しかないと断言できる。これらの意見は、たまたま無事だったのかもしれないし、訪れた国によっても変わってくるはずなので、運要素が強い対処はあまりオススメできない。



手荷物検査の回数


「日本→コペンハーゲン→アイスランド」の往路

1、出発国である「日本」
2、乗り継ぎ時の「コペンハーゲン」
3、帰り道の「アイスランド」

合計3回の手荷物検査が行われる。コペンハーゲンでは飛行機から降りてすぐに厳しい手荷物検査が行われるのだが、帰路では行われない。



X 線を拒否するまでの過程


○ 日本
最初のステップは同じ日本人が相手というのもあってスムーズに通ることができる。「フィルムカメラなので検査装置を通さず、別で検査してもらってもいいですか?」といった内容で相手に伝えれば、向こうも慣れているので対応してくれる。

スムーズとは言ったが「写ルンです」と「チェキ」のテストショットを義務づけられる(相手や状況によっては、それすらないときもあるという噂も聞く)。

「中身が分かるように透明の袋に入れる」
「写ルンですやフィルムなどは未開封の状態」

事前に得たこれらの情報に自分も賛同していたのだが、逆に未開封の箱やパッケージが仇となったのか、問答無用でその場で開封を求められてテストショットへ。すでに開封済のポケットに忍ばせていた写ルンですは通用せず、あくまでも未開封のものを開封して一枚ずつ撮影。持ち込んだすべてのものではなく、開封を求められるのは「写ルンです」「チェキのフィルム」共に1つずつで、それ以外は未開封の状態のまま機内へ。

テストショットの件は事前に把握していたので特に気にすることもなく無事に終了。人によっては、この流れは面倒かもしれないが仕方ない。このワンアクションだけで他の未開封のものは全く疑われないのも不思議ではあるが。

また、写ルンですをすべて袋から出した状態で持ち込んだとしても、いずれか一枚は撮らされることになると思う。これが写ルンですや、チェキのような銀の袋に包まれて目視できないインスタントフィルムではなく、透明のケースに入った一般的なフィルムならば、相手も異物ではないと把握できるので特に気にする必要はない。


○ コペンハーゲン
次のステップであるコペンハーゲン。こればかりはそこに居合わせた空港のスタッフの方々によっても対応が変わってくるかと思うし、私の場合は最悪な結果となった。

偶然にも同じコペンハーゲンという地で悪戦苦闘した方のブログを見つけた際、その方と同じ悲惨な状況に陥って「ああ、こういうことか」と身を以て体験。その彼は雑誌のカメラマンなので、当然フィルムを死守しなければならない。

「断固としてハンドチェックを希望したら警備員やら何やら呼ばれ、他の人たちがスムーズに通過していく中、私は2〜3時間もかかり、ようやく向こうが折れてくれた。途中、こんなに大量のフィルムを持ち来んで何を撮影するの?と鼻で笑われたりもして腹が立った。最後の最後まで相手は X 線に通そうと諦めなかった」という内容。

「たかがフィルム一つで、そんなこともあるのか」と思いつつ、どこかしらで自分には縁がないとも思っていたのだが、この考えが甘かったと反省。結果は全く同じ経験をする羽目になった。

これは稀なケースだとは思うが、最悪の事態も想定しておいた方がいいと思う。友人や知人などに尋ねてみると「自分は楽勝だった」という意見もいくつかあったので、やはりどんなスタッフと鉢合わせるのかは運次第だな、と。

コペンハーゲンが最終地点ならば意地でも死守していたかもしれない。しかし、乗り継ぎなので2〜3時間もかかっていては、最悪その日にアイスランドに向かうことができなくなってしまう。これは考えものだ。そもそも乗り継ぎの有無関係なく、長いフライト時間を終えて早く一息つきたいところ、自分だけ何時間も立ち往生してしまうのは誰だって嫌だと思う。

散々悩んだ挙げ句、どうしても無理そうなので天に祈るような気持ちで X 線に通した。この時点で、アイスランドからの帰り道でも「一度通してしまったから」という諦めに近い気持ちがあったのも否めない。


○ アイスランド
最後のステップであるアイスランド。先述した通り、気持ちが運任せに傾いていたので英語で事情を話し、事前に用意していた注意事項の紙も見せ、そこまでやっても駄目だったらもう仕方ないというモチベーションだった。結果的にここでも X 線を浴びることになる。何もかも初経験だったのも相まり、妥協しつつも淡い期待をしていた自分がいたのは素直に認めている。



X 線を2回通過した結果


持ち込んだものは「写ルンです シンプルエース 39枚撮り ISO 400」になる。つまり、800枚以上をアイスランドで撮影したのだが、案の定100枚未満しかまともに写っていなかったという結果。

その100枚もまた、万全な状態で撮影されたものよりは色味などが狂っていたりした。これを機に次回はデジタルカメラを持ち込む、あるいはフィルムを断固死守することを誓った。

不思議なことに、ブルーラグーンで撮影した写真はすべて無事に生き残っていた。万全な状態のまま国内で普通に撮影したものと特別変わりもない。ただの偶然なのか? 撮影地の温度の影響なのか? 機体が当たりだったのか? 真相は謎に包まれたままだ。



X 線を拒否する方法


たとえ慣れぬ異国の地でも、断固として拒否する意思を示す。これに尽きる。

英語が達者でない方は、下記の英文を記した紙をフィルムやインスタントカメラを詰め込んだ袋に貼り付けたり、透明の袋に同封するのをオススメする。

(英文)
These are photographic film
If they are irradiated with X-rays, they will be desroyed.
They are very very precious to me.
So, would you inspect them by hand?

(和訳)
これらは写真のフィルムです。
もし X 線の光を浴びたら、壊れてしまいます。
それらは私にとって非常に、非常に貴重な代物です。
だから、あなたの手で検査をお願いできますか?


もちろん紙が同封されていたところで、よっぽど親切なスタッフでない限りは無視されるはずなので、同じように書かれた別紙を手で持ち歩いた方がいい。同封するだけで済んだらラッキーだが、それはあくまでもコミュニケーションや強い意思表示がどうしても苦手な方にとっての最低限の対処。

空港のスタッフは、持ち込み禁止物には目を光らせるが、いちいち注意事項の紙など気にも留めない。たとえば、乗り継ぎ時のコペンハーゲンでは飲み物はその場で捨てるように注意書きがされており、そういったものには相手も注視するが、それ以外のことは気にせずに淡々と流れ作業をしている。


相手に期待してはいけない。自分で行動しなければならない。相手が注意書きの紙やフィルムの存在に気づいたところで、向こうから対応してくれることはまずないと思った方がいい。X 線の装置に向かうベルトコンベアに乗せた時点で、相手は流れ作業でカゴを次々に装置に通していく。極稀に相手から「避けてハンドチェックをしようか?」と言ってくれるが、それは本当に稀なケース。

他の国でも試したところ、予想通り無視されたので自分から「ちょっと良いですか?」と一声かけて、詳しく話す前にまず注意書きを見てもらった。幸いにも、このときは注意書きを見ただけで「OK」と嫌な顔一つせずにスムーズに進んだので、面倒なやりとりを繰り広げる事態にはならなかった。



時代の変化


10年以上前は全く気にしていなかったし、10年後に自分がここまで神経質になるとも思っていなかった。それは当時の自分が写真に興味があったわけではなく、旅行するときは写ルンですを持っていくという流れが自然にあっただけなのもある。

13年前、2014年。オーストラリアに旅行に行ったときに持ち込んだ写ルンですは何も問題がなかった。自分の親の世代だったら尚更そうだと思う。特に気にすることなく扱えたと記憶している。



まとめ


・X 線の影響によりフィルムが使い物にならなくなることが多い
・国や居合わせた係員によって対応が変わってくる
・国によって X 線の影響度も変わってくると思われる
・注意書きは必須
・注意書きだけに頼らず自分でも一声かける

「Excuse me」「Sorry」「Hi」でもなんでもいいので、声をかけるなり手を上げるなりして相手に注目してもらい、注意書きを見せる。大切なのは意思表示。英語の不慣れを気にしてはいけない。それは今回のようなケースに限らず、海外ではとても大切なことだ。臆していては何も始まらない。

それでも相手が折れず、さらに英語が分からない場合、次の抵抗として「Don't X-Ray !」「Please Hand Check !」「No ! No !!」など、とにかく思いつく限りの英語を話しつつ、必死に意思を示すのだっていい。フィルムを死守したいなら、羞恥心など気にしてはいけない。英語が大の苦手でも、これらの言葉を必死に連呼しつつ猛烈にアピールし、問題を解消することができた事例が身近にある。

どうしてもコミュニケーションをしたくない方は、これでもかと目立つくらいの大きな紙に「DON'T X-RAY」「PLEASE HANDCHECK」などの一文だけを強調して注目してもらうのもアリだ。もしそこで相手が何かペラペラと話してきて全然理解できなくても「No」「No」と嫌がるアピールを必ずして欲しい。


長くなりそうだったので、今回はチェキに関することは省略。次の記事で紹介。