単純な生き物



ぼくは自分のことを単純な生き物だと解釈している。人によっては「天真爛漫」「純粋」と評価することもあるのだが、ぼくはその単純さは強みであり、弱みでもあると捉えている。些細なことを重要なことのように扱うところがあり、どれほど馬鹿げたことでも喜んだり、悲しんだりする。また、そんな自分自身を高尚な存在として扱いたくもない。

時刻は22時。衝動に駆られるかのように自転車を走らせ、家を出た。夜に犬を散歩する女性と出会す。トイプードルがぼくに嬉しそうに、あるいは心配して慰めるかのように近づいてきた。信号機が青へ変わる。横断歩道を渡る前、近寄ってきたその子に向けて小さく手を振った。すると、女性が「ほら、バイバイだって」とその子に向かって言い放ち、一緒に別れを告げられる。

このような些細な出来事だけで、今日あった嬉しいことや少しのモヤモヤしたことをすべて忘れてしまうほどに、ぼくは思わず嬉しくなってしまった。一日の終わりをこんな気持ちで迎えられたことに、ただただ「ありがとう」と感謝を表したい。ぼくのような人に対して何の偏見も持たずに接してくれたこと……それは、まるでぼくの存在を肯定してくれたかのような気持ちすら抱くのだ。