反乱ではなく革命



『わたしはロランス』という映画で、ロランスが意を決して女装し、先生として勤務する学校の教室の扉を開けるシーンがある。お気に入りのシーンの一つだ。このときのロランスの心境は計り知れないほどのものであろう。今まで普通の男性として生きてきて、生徒の一部からは素敵とまで評されるような先生が化粧をし、スカートやハイヒールを纏い、生徒たちが待ち構えている教室へ向かうのだから……。

最初は生徒たちも戸惑いが隠せず、しばしの静寂が流れる。沈黙を破ったのは生徒の一人。手をあげて、いつも通り授業に対する質問をする。授業を終え、昼食を食べに食堂へ足を運ぶロランス。廊下で戯れる他の生徒たちから、形容しがたい視線を向けられても気にすることなく、ロランスはただただ歩みを進める。普段と同じように、生徒たちに挨拶することも忘れずに。

特にお気に入りなのが、ロランスの良き理解者である同僚との会話のシーン。「反乱か?」と尋ねられて「いいえ陛下、革命です」と耳元でささやくロランス。素敵だ。音楽に合わせてこちらの胸まで高鳴っていく。他にもたくさんの好きな場面があるが、これが脳裏に浮かんだのにはワケがある。自分の出来事も関わっているからだ。

時刻は夜中の1時。ぼくは衝動に駆られるかのようにブリーチをして洗い流し、マニックパニックのヴァンパイア・レッドで真っ赤に染めた。腕や足の体毛を剃り、眉毛も髭もすべて剃り落としていく。それなりの強い信念があるわけだが、ここでいちいち語るのは野暮というもの。なんとなくそういう気分だった。

しばらく黒髪だったが、久々に見る赤髪に微笑を浮かべる。このような行為はこれまでにも何度もやってきたし、黒髪でいることも好きだが、今回の場合は自分の中で意味合いが異なってくる。もう二度と出会すことがないとすら思っていた自分に、再び出会えたことに喜びを隠せない。

当然ながらプライベートでは全く他者の視線は気にならないし、特別関係もない。また、以前の職場においても、ありのままの自分を温かく迎え入れてくれたわけだが、今回は事情が異なってくる。

7時間後はぼくが職場に向かっている頃だ。おそらく周囲は驚きを隠せないであろうし、強い嫌悪感に類似したものすら抱かれるかもしれない。仮にそうなったとしても、最初からどう思われてもいいと覚悟した上での選択なので悔いはない。

反乱ではなく革命を起こす時期が、新たな職場でも訪れた。ただそれだけのこと。